ダイエットには欠かせないエネルギーの仕組みを理解する
カロリー計算って必要ですか?
晩御飯は少なくした方が良いですよね?
ダイエットを考えているマユミさん
このようなご質問はよくいただきます。
先に、上の疑問に回答してしまうと
特に『リバウンドをしないダイエット』を目指すのであれば「カロリー計算は必要ない」ですし「晩御飯の『量』を、特別少なくする必要はない」となります。
なんでエネルギーの仕組みについて理解が必要なのか?
上記のような疑問の根っこの部分には『食事によって生み出されるエネルギーと消費していくエネルギー。』この2つの関係が「あまり理解できていないから体脂肪になるんじゃないか?と不安になっちゃう」というのがあります。
僕たち人間の『エネルギーの仕組み』について理解することで
などのメリットが期待できます。
ですが、世の中的にはエネルギーについて『カロリー』という言葉の影響力が強すぎて、誤った考え方をしてしまうことも多いんです。
そこで、今回の記事ではなるべくわかりやすく、人間のカラダで作られる&使われるエネルギーについて書いていこうと思います。
エネルギーになるのは脂質と糖質だけ
世の中の常識として、三大栄養素である
がエネルギーになる『カロリー』を持っていて、太る(≒エネルギーのとり過ぎ)原因も上の3つの栄養とされています。
この考え方は半分正解、半分間違いです。
人間が基本的にエネルギーとして使う物質は、糖質の種類の一つである『ブドウ糖』と脂質の種類の一つである(憎っくき笑)『中性脂肪』の2つだけなんです。
その一方でタンパク質は食べて、消化・吸収されると、旨味成分としてもお馴染みの『アミノ酸』というものに変わりますが、アミノ酸が直接エネルギーとして使われることはありません。
タンパク質は「エネルギーとして使われるために体脂肪として蓄えられる」ということがない、つまりタンパク質が体脂肪になることはないんです。
世の中には『プロテイン(=タンパク質)で太る』という情報もありますが、これも基本的にはあり得ません。
これについては、また別の機会に詳しく記事にしますね。
カロリーは気にしない
エネルギーを表す単位としてご存知の『カロリー(kcal)』というものがあります。
世の中的には「カロリーと体脂肪は直結していて、ダイエットとカロリーは切っても切り離せない」と考えられていますよね。
タンパク質にも1gに4kcalというカロリーがあります。
ですが、タンパク質は先ほども書いたように体脂肪になることはありません。
ということは『カロリーが体脂肪になる』という考え方も、若干おかしくなってしまうわけです。
実は、カロリーの決め方は人間のカラダの中で行われているものを参考にしているわけではありません。
日本語では『熱量』とも言い換えられますが、その名の通り食品を燃やしたり・爆発させたりした時の、周りの温度の変化などから計測されたものなんです。
僕らのカラダの中で、食べたものが物理的に燃えている・爆発しているということはありませんよね。
確かにカロリーはひとつの指標として使うことはできますが、カロリーに縛られすぎる必要はありません。
ちなみにセレンダーのダイエットで『カロリー』という言葉を使うことは、まずありません。
それくらい軽く捉えていいものなので、カロリー計算を頑張るなら、その努力を他のところに向けませんか?
エネルギーは車でいうガソリン代と維持費で考える
エネルギーという言葉から連想しやすいからなのか、ダイエットの話でエネルギーという言葉が出るときは、車でいう『ガソリン代』のことしか語られないことが多いです。
ですが、僕たち人間は食べたものをガソリンとして使うことのほかにカラダ作りの材料という『維持費』としても利用します。
そこも考えないと、健康的なダイエット・カラダ作りはうまくいかないんです。
今回は5つのパターンを覚えて帰りましょう。
ガソリン代として使われるエネルギー
あなたもご存知の、ガソリンのような使われ方をするエネルギーについての2つのポイントです。
①脳を働かせるためのガソリン
頭を使って疲れた時、何を欲するかというと甘いものですよね?
これはある意味、本能に従った行動なんですが、本当に欲しがっているのは、甘いもの=砂糖に含まれている『ブドウ糖』なんです。
脳が働くためのガソリンはブドウ糖だけです。他のどの栄養もエネルギーにはなりません。
脳は寝ている間でも1時間に5gのブドウ糖を使います。24時間では120gですね。
これがどれくらいの食べ物の量になるかというと、白ご飯でいえば330g、お茶碗約3杯分です。
ですから、1日3食食べるとして毎食主食をとっても、そのエネルギーは全て脳が働くガソリン代として消費されます。
逆に、脳はカラダの中でも超重要パーツであるため、ブドウ糖が足りなくなるのはものすごくピンチなんです。
脳に充分なブドウ糖が供給されなければ、カラダの他のパーツ具体的には筋肉や内臓のタンパク質を分解してブドウ糖を作り出します。
『糖新生』といって、「筋肉が減ってしまい…」というリバウンドの原因の一つですね。
②カラダを動かすためのガソリン
カラダを動かす時のガソリンになるのは中性脂肪です。
はい。
「有酸素運動で脂肪が消費される」とはこういうことですね。
ただ、ひとくちに『有酸素運動』といっても、ものすごく幅が広く
このような時にも、バランスを取るために筋肉を使っているわけですから、そのガソリンとして中性脂肪が使われています。
「有酸素運動する時間が取れない…」と悩んでいるのであれば、まずは普段の体勢・姿勢を変えてみてはいかがですか?
小さなことから、コツコツ積み重ねるのが大切なのは確かです。
③筋トレをする時のガソリン
筋トレなどの、負荷の高い運動をしている時には『ブドウ糖』を使います。
これまたブドウ糖が充分になければ、筋肉や内臓を分解してブドウ糖を作り出す『糖新生』が起こります。
筋肉をつけるための筋トレなのに、ブドウ糖が足りないと筋肉を分解していく…
そんな、無駄な・もったい無い時間や労力を使わないように、普段からブドウ糖でカラダを満たしておきましょうね。
維持費として使われるエネルギー
こちらの働きを知っているかたは少ないと思います。
僕らのカラダのパーツひとつひとつ、具体的にいうと60兆個もあるといわれている細胞ひとつひとつが生きるためのエネルギーについてです。
④脳を生かすための維持費
脳が生きるためには『ブドウ糖』が維持費として使われます。
上で書いた、脳が働くためにお茶碗3杯分のご飯分のブドウ糖が必要になるわけですから「3食たっぷりご飯を食べても体脂肪に変わって蓄えられるほどのブドウ糖は取れない」と考えてもらって大丈夫ですよ。
ブドウ糖が足りないときのデメリットの方があまりに大きいです。
⑤カラダのパーツを生かすための維持費
筋肉を始めとしたカラダのパーツを維持するためのエネルギーは『中性脂肪』です。
『基礎代謝量』という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
その説明として「寝たきりの状態で24時間過ごした時に消費するエネルギー量」と言われますが、今回で言えば
④脳を生かすための維持費 ⑤カラダのパーツを生かすための維持費
を合わせたものが基礎代謝量ということになります。
年齢によっても違いますが、女性であれば少なくとも1日あたり80gの中性脂肪を、維持費として使います。
「1日たったの80g?」
いえいえ、②のカラダを動かした時の消費分は書いていませんし『何もしなくても』毎日80g使われていきます。1週間で約500g、1ヶ月で約2.4kgですよ?
これを理解できたら、ちょっと体脂肪を減らす作戦が立てられそうですよね。
晩御飯を少なくするべきなのか?
最後に、始めの質問に戻りましょう。
答えからいえば「体脂肪になるものをたくさん食べなければ、全く量を減らす必要はない」です。
と、普通の食事内容であればそこそこの量を食べたとしても、ガソリン&維持費として朝ごはんまでに使われてしまいます。
むしろ、カラダのパーツの修復が一番進む睡眠時にその材料がない方がデメリットとして大きいと考えます。
ですから、僕は「晩御飯もしっかりと食べてください。」という食事指導をしています。
それでも、どうしても気になるのであれば
などを意識すれば、問題ありません。
健康的に痩せるためにも、エネルギーの仕組みを抑えて、カラダが効率よく変わるような食生活に取り組んでみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございます。